ひとりごと

アラサーOLが、考えたこと、見たもの、食べたものなどを淡々と綴るつまらない日記です

ハイパーハードボイルドグルメリポートの書籍版を読んだ

ディレクターが単身世界のヤベー所に乗り込んで、通訳とドライバーだけ連れてヤベー奴らの飯を取材するっていうテレ東の番組ですね。

非常に人気があり、Netflixで配信されているので見てみました。

その上で、番組の内容を補完した書籍が出ているので(こういうのはなんていうんだ、エッセイ?)それも読みはじめました。まだ全部読み終わってないので、また記事を編集するかもしれない。

 

ちなみに私はこういう番組(本)大好き。大好きというと語弊があるかもしれないけど、とにかく世界のリアルな姿が知りたいという欲求があるんですよね。知った上で、自分はどう生きるべきかとか、社会はどうあるべきかとか考えたいから、そういうリアルを伝えてくれる番組や本は、好き。もちろん人が作っている以上どうしても主観は入るし、テレビ番組である以上誇張などもあるけれども、それは受け取る側がどうにかすればいいことで、こういうリアルを教えてくれる存在は非常に貴重だと思います。

 

この企画のすごいところはさ、「一般的な日本人から見た」世界であるところだと思う。

ただ事実を伝えるだけなら、もっと他にも出来る人がいるかもしれない。でもそれを、「そこそこ勉強してきて」「何かを世の中に伝えたいと思っている」「日本人」が作っているということに意味がある。

 

やっぱりさ、環境や知識によって人って同じものを見ても感じることって全然違うんですよ。それこそスラムが身近にあるアフリカ人が見たら普通のことでも、食べ物や家や安全を当然のものと思っている日本人から見たら異常なことってたくさんある。そういう違和感みたいなものを、他人に伝えられる表現力を持った人が、発信力を持ったということがすごいことだと思った。何よりもそこに感謝の念が芽生えた。

 

内容もすごいんですよ。

ちょうど昨日、BBCニュースでソマリアのCOVID-19の状況のニュースを見たんですよね。公式には死者は100人未満なんだけど、潜在的にはもっといるって話。医療体制が整ってないとかかと思ったら、病院に来たがらないからCOVID-19患者数の把握自体ができないんだって。ソマリア人は病院に行ったら殺されると思ってるらしい。だから病院に行かないし、周囲が通報して運ばれても家族が無理やり連れ戻したり脱走したりもあるみたい。

なんでそんなに病院に対してゆがんだ価値観を持ってるんだ?!っていう説明まではしてくれていなかったから不思議に思っていたんだけど、この本を読んで理由が分かりました。

 

アフリカ人はどうやら欧米社会(というか先進国)に対して多大なる不信感と親近感を持ち合わせているようなんだよね。

その昔アフリカは欧米社会の植民地になって、奴隷としてたくさんの人々が別の大陸に連れていかれたよね。人権問題なんかで奴隷の子孫がアフリカ大陸に戻ってきたりしたけど、その後も格差は広がって発展途上国として今も燻っている。

奴隷の子孫たちは欧米の文化に触発されながらも、一方で自分たちは食い物にされているという感覚も持っていて、自分たちが貧しさから抜け出せないのは先進国の人々が世界の美味しいところをすべて持っていくからだと考えているみたい。自分たちに降りかかる不幸は欧米のせいだと。エボラ出血熱でみんな死んでいったけど、エボラウイルスなんて無くて(あるいは死に至る病気ではなくて)、欧米人が疫病をでっちあげたり妙な薬を投薬してアフリカ人を殺しているんだと本気で思っている人がたくさんいるようなんです。

きっとCOVID-19もそれと同じ。たくさん死んでいくけど、それは陰謀で、欧米人や先進国がアフリカ人を殺している、だから病院に行ったら逆に危ないんだと本気で思っているんです。

 

これが分かっただけでもアフリカ人の思考の根底にあるものが分かった気がして、読んだ価値があったと思いました。

 

自分が知らない世界のリアルを知りたい人にはお勧めできる本です。