転職サイトをぼちぼち見ていますと、たまに中央省庁からの中途採用スカウトメールが来ます。
スカウトメールといっても別にヘッドハンティングのようなものではなく、こんな採用やってるので応募してね~っていうメールですね。人事部が自社のニーズに合う経歴の登録者に直接宣伝して回っているものです。
最近は民間からの中途を相当数とっているみたいですね。
で、内容を眺めてみたんです。
そうしたら…文面からあふれ出すワークライフバランスのなさ、薄給、「想い」重視。これ、ちまたで言われているやりがい搾取そのものではありませんか…
かつて、そんなに遠くない昔は、官僚になるのが夢でありエリートコースだったと思いますし、今でもそんなイメージはあります。おそらく、今40~50歳以上の職員は学力的にトップ層の人々でしょう。
でも、今この条件で私と同世代のアラサーやこれから就職する20代のトップ層が官僚を目指すとは到底思えませんでした。
ある程度は省庁によるのでしょうが、お上(大臣や政治家)に振り回され、国会期間中は深夜残業当たり前、それでいてモデル給与28歳独身で年収500万円って、GAFAどころか一般的な上場企業の社員ですら魅力に感じないと思います。
直接的に社会を良くしていける仕事ではあるので、そういう意味ではやりがいはあると思いますが、はっきり言ってそれしかありません。
これじゃ優秀層がみんな官僚になりたがらないわけだと納得しました。せめてお給料が1.5倍くらいになれば高給取りだと思いますしやりがいもあって人も来るかと思いますが、このお給料ではやりがいだけで引っ張るのははっきり言って無理です。
それでも、きっと国家公務員のお給料を上げると世論が紛糾するのでしょうね。
そんなことしているカネがあるなら貧困層に配れとか、コロナで収入が減っている業界に配れとか安易に言う人がたくさん出てくるのだろうなと想像できます。
先日も国会議員の賞与支給に文句言っている人がごまんといました。
公務員や議員って体のいいサンドバックです。
でも、世の中の仕組みを作っている人が優秀じゃなければ、いい仕組みになるはずがありません。
何度も言っていますが、確かに学力がよければ頭がいい、いいアイデアが出せるとは必ずしも言えません。ですが、学力が低い方が頭がいい、いいアイデアが出せるはありえないのです。人気企業で学歴フィルターがあるのはそのせいです。人気企業はたくさんの応募があるので、ある程度「優秀そうな」人たちをグルーピングしなければならない。そうしたときに、より優秀な人がいるであろう層を狙うわけです。それが学歴です。
こうしたやり方は必ずしも理にかなっているとは思っていないのですが、学力が高い方が本当に頭がいい人がいたり世の中をよくするアイデアを持っている確率が高いのは事実だと思います。なぜなら、そういうアイデアは知識の中から生まれてくるものだからです。その知識量がすなわち学力なんですよね。
だから、優秀な人によい社会の仕組みを作ってもらうには、まず学力が高い人に興味を持ってもらう必要があるんです。それなのに、そういう人たちが興味を持ちやすい要素が欠けている。
よい社会の仕組みが出来なければ、国力というか、国全体の活力は下がっていくばかりです。みんなして貧乏になっていきます。でも、そうしているのは日本人自身なのです。だって、そういう優秀な人を官僚にするのを間接的に阻んでいるのですから。
私はこれを見て暗澹たる気持ちになりました。まだ今は過去の優秀層が管理職をやっているのでマシかもしれませんが、20年後、30年後が今から怖いです。
未来への展望がなさすぎませんか、ニッポン。
そろそろ妬み嫉みで足を引っ張りあって全員で貧しくなっていく構図に気づきましょう。優秀な人にはそれなりの対価を与えて、いい仕組みを作ってもらって、その恩恵を全員で享受しましょうよ。