私は財務(経営企画部)で働いているのですが、いまは人事に近い仕事をしています。
会社の人材戦略を考えていく中では、もちろん給料の話が一番大きなトピックになります。
優秀な人材を確保・維持するのに重要なのは、やっぱり報酬なんです。
じゃあ優秀な人に来てもらうためにお給料を上げようってなるじゃないですか。
でも、一律上げると事業を始めたり拡げたりするための投資ができない。それに、利益が出なければ株価も上がりません。固定費の比率が高いことは投資家からはネガティブに捉えられることが多いので、経営者は給与を増やしたがりません。
じゃあどうやって優秀な人の報酬を生み出すかって、優秀でない人の給与を減らしてそこから補填しようとするんです。
そうすると、優秀でない人はもちろんモチベーションが下がるし、パフォーマンスがさらに落ちます。
ひいては会社にいづらくなったりして辞めていったりもします。報酬を減らすというのは、会社がそれを促しているのと同義です。
そうすると何が起こるかというと、今度は前は「普通の人」だった人が優秀でない人と位置付けられて、優秀な人の給与を増やすために給与を減らされます。
そうすると、その人のモチベーションが下がり、生産性が落ちます。ひいては会社にあの手この手で促され、辞めていきます。
つまり、何が言いたかったかというと、大きな組織というのは落ちこぼれを作らないと成り立たないんです。
具体的に何人からというのは実感値がないけれども、例えば10人の組織ならおそらくみんな同レベル、あるいはその中で1〜2人が特に優秀な構造が実現たりうると思いますが、数百人の組織になると必ず落ちこぼれが出てきます。
その落ちこぼれは、もしかしたら以前いた組織では普通の人や優秀層だったかもしれません。でも、今の組織ではそういう役割を与えられてしまって、這い上がれなくなってしまった状態です。
私はこの仕事に関わり始めてから、全員が優秀な組織なんてないんだろうなと思うようになりました。
会社は落ちこぼれに厳しく、いかに生産性の低い人間を辞めさせるかを考えていますが、その人が元々ダメなのではなく(もちろんそういう場合も中にはあると思いますが)落ちこぼれを自ら作り続けていることに気付いてないからずっといたちごっこをしているんだなと分かりました。
経営層って優秀な人が多いので(賛否両論あると思いますが、少なくともその会社の中で評価されてきたから偉くなっているのは間違いない)、こういう構造に気づかない、あるいは気づかないフリをしているんだろうなあ。
今の会社で正当に評価されていないと感じる人は転職すべきなんだよね。
とはいっても、どこまで行ってもこの落ちこぼれを作る構造からは逃れられないんだけど…。